2010年第3回定例会・意見書

司法修習生の給費制度の存続を求める意見書


 法律家育成に重要な役割を果たす司法修習生への給費制度が、11月に廃止されようとしています。
 裁判官や検察官、弁護士を目指す人たちは、司法試験に合格してすぐに現場に出られるわけではありません。1年間、司法修習生として研修を受ける必要があります。
 修習は、平日フルタイムで行われ、アルバイトは禁止です。修習に専念するために国が月約20万円の給料(給費)を支給してきましたが、63年間続いた制度は2004年の裁判所法改正で、今年11月に給費制を廃止し、生活費などが必要な場合は国から借金をする「貸与制」が導入されます。
 国が主な廃止の理由とするのは、「将来の法曹人口の急増」と言うものですが、年間3000人の司法合格者がでることを想定し、それに伴う国民負担の増加は理解を得られにくいというものです。しかし、実際は、国の見込みがはずれ、法律家希望者が急激に減っています。その要因は、法律家になるリスクや経済的負担の大きさです。その実態は、日弁連の調査では、修習生の53%が借金をかかえ、平均して318万円にのぼっています。制度をやめる前提条件が失われているのが実際です。
弁護士会は、給費制が廃止され、法律家への道を断念する人が増え「多様な人材が絞られて、司法を担う部分が偏った人材で占められてしまう」と危機感をあらわにしています。
 よって、清瀬市議会は国会及び政府に対し、法律家を志望する人に重要な役割を果たす司法修習生の給費制度の存続を求めます。

 以上、地方自治法第99条の規定より、意見書を提出します。


2010年9月30日

清瀬市議会

子どもの健やかな育ちを保障する「認可保育制度」拡充を求める意見書

 6月29日、政府は少子化社会対策会議において「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を決定しました。これは、経済成長戦略の一貫として提案されており、市場原理の導入、直接契約・直接補助方式への転換、指定業者制度の導入を柱にするものです。日本経団連の「成長戦略2010」をはじめ、財界が長年求めてきた方向であり、子どもの権利や発達保障とは無縁の内容です。
 現行の認可保育制度は、国や市町村の保育の実施義務が明確に位置づけられ、「最低基準」により、全国どの地域においても保育の質が等しく保障されています。保育料においても、保護者の所得の格差が子どもたちの受ける保育の格差につながることのない「応能負担」を原則としています。すなわち、「公的責任」「最低基準」「応能負担」という三つの福祉の必要条件を柱とした保育制度です。
 一方、新システムの保育制度において、この三つの福祉の必要条件は「公的責任の縮小」「最低基準の緩和」「応益負担」となってしまい、大幅に後退します。内容は、国と市町村の責任を後退させ、幼稚園と保育所を一体化した「子ども園」に営利企業を積極的に参入させる、子育て予算は丸ごと「一括交付金」化して自治体の自由に任せるというものです。市町村の責任が限定され、財源の確保も充分でないとなれば、負担増によって保育所を利用したくてもできない家庭や、保育水準や保育の質の低下、地域格差が生じることは避けられません。
 また、幼保一体化といいながら、幼児教育は単なる就学準備のための教育に、保育は保護者が働いている時間だけ預かる託児にするもので、これまでの日本の保育や幼児教育の到達を無視した、幼保一体化の名に値しないものです。
 全国保育団体連絡会は7月、「子どもの権利保障、よりよい保育実現の視点からの改革を」と題して新システムへの見解を発表、「国と自治体の責任を投げ捨て、保育・子育てを市場に委ね、保育・幼児教育を変質させる新システムの導入は、将来に禍根を残すものであり、国民が望むところではありません。私たちはその撤回と再考を求めます」と、強く批判しています。
 よって、清瀬市議会は国会及び政府に対し、政府が「子ども・子育て新システムの基本制度案要綱」を撤回し、子どもたちの健やかな育ちを保障し、安心して子どもを産み育て、働き続けられる「認可保育制度」の拡充を図られるよう強く要請します。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

2010年9月30日

清瀬市議会

生命保険会社と政界の癒着を許さず、企業団体献金の禁止を求める意見書

第一、 日本、住友、明治安田の生命保険大手4社を中心とする生保業界が、保険金不払い
という重大な不祥事の発覚後、大掛かりな政界への不正工作をおこなっていた疑惑が浮上しています。
保険金不払いは、判明しているだけで135万件、約973億円にのぼり、広範な保険契約者など国民の利益を損なっています。
 生命保険業界の不正な政界工作のピークは、2007年5月の衆院財務金融委員会です。2005年以降業界ぐるみで不払いが大量に発覚するなか、同委員会による生保関係者の参考人招致は、当初大手4社、2時間半の日程で与野党が一致しました。ところが、予定期日の直前に自民党が参考人を一人に絞り、時間も1時間に短縮する日程を、与野党の合意をくつがえしてごり押ししました。
その裏には、生命保険協会の渡辺光一郎会長が社長を務める第一生命が自民・民主ら44人の国会議員から1年間で総額1200万円を超えるパーティ券を購入していたことが関係者の証言で判明しました。生保業界は国会議員をランク付けし、貢献度が高い国会議員は購入額で厚遇されていました。
「厳しく追求されたくない」という生保業界が、当時の自民党の金融関係の有力者、財務金融委員会の理事メンバーに執拗な要請をし、国会運営をねじ曲げた疑惑が濃厚です。
 参考人招致の運営を業界の意向に沿ってねじ曲げたとすれば、国政調査権をカネで売ったに等しい重大な腐敗、疑惑といわなければなりません。
 よって、清瀬市議会は国会及び政府に対し、その権威をかけ、次のことを求めます。

1、生命保険会社大手4社と政界の工作疑惑の全容解明にあたること
2、企業団体献金は禁止すること
  
 以上、地方自治法第99条の規定より、意見書を提出します。

2010年9月30日

清瀬市議会

大学予算の大幅削減を中止することを求める意見書

 政府が決めた来年度予算案の概算要求基準で大学予算が一律1割削減の対象となっています。これが現実になれば国立大学の運営費交付金は1000億円以上の削減となり、その規模は小規模な国立大学29校分の予算に該当します。私立大学の経常費補助も320億円以上の削減となり、大手私立大学6校分の交付額に匹敵します。大学関係者から「我が国の知的基盤を破壊する」と、厳しい批判の声が上がっているのは当然です。
 国立大学ではすでに「構造改革」による独立行政法人化以来の6年間で大学の日常的運営を支える運営費交付金が830億円も削減され、「教員の教育研究費が激減し教材を私費で賄っている」「人件費削減で教員ポストが減り一部の授業を閉鎖した」など、重大な支障が生まれています。中小の大学では存立さえ危ぶまれる深刻な危機に追い込まれています。
 日本の学生の74%を擁する私立大学では、「経常費の2分の1を補助する」とした1975年の国会決議に反する国庫補助の連続削減によって、経常費に占める補助の割合は11%に低下しています。教育・研究条件の国立との格差の拡大、中小規模の大学・短大での「定員割れ」による経営困難などの事態が広がっています。
国際的にも異常な高学費は負担の限界を超えており、経済的理由で進学をあきらめる若者が急増しています。大学予算の一律1割削減によって、さらに学費が値上げになる懸念があります。憲法で保障されている教育の機会均等を妨げ、教育を受ける権利を奪うことにつながるものです。
 短期的な効率主義で大学予算を削減するのではなく、先進国でも最低の水準に留まっている大学予算を、欧米並みに引き上げていくことは急務の課題です。  
 よって、清瀬市議会は国会及び政府に対し、下記のことを求めます。


(1) 国立大学の運営費交付金の削減をやめ、法人化前の水準を回復すること
(2) 私立大学に国立と同様に公費を支出する原則を確立し、大幅な国庫助成を実現すること
(3) 学費免除や給付制奨学金の創設などをはじめ、高等教育の段階的な無償化へ踏み出すこと
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

2010年9月30日

清瀬市議会

民意を締め出す比例定数削減方針の撤回を求める意見書

 参議院選の結果を受けて始まった臨時国会の冒頭、記者会見した菅首相が、衆議院の定数を80、参議院の定数を40削減する方針について、明らかにしました。
 現在の衆議院の選挙制度で議員の定数は1選挙区から1人の議員を選ぶ小選挙区が300、全国11ブロックに分かれる比例代表が180となっています。比例代表の定数は当初200でしたがすでに1割削減されています。小選挙区は大政党しか当選できず大半の投票は議席に結びつかない「死に票」になります。民意を議席に正確に反映する選挙制度は比例代表だけで、その後退は許されません。
 民主党が主張するように比例代表の定数を80削減すれば、比例の定数は100になり、衆議院の400の定数のうち4分の3は小選挙区で選ぶことになります。前回2009年の総選挙結果でシミュレーションすると、民主党は4割台の得票で7割近い議席を得ることになり、議会制民主主義の根幹にかかわる問題といわなければなりません。
比例定数削減が実施をされれば、国民の民意はいよいよ国会に届かなくなるばかりか、少数意見が無視される事態を引き起こすことになります。
 よって、清瀬市議会は国会及び政府に対し、民主主義の破壊をもたらし、民意を締め出す比例定数削減方針の撤回を求めます。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出します。

2010年9月30日

清瀬市議会

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