2009年第3回定例会・意見書

2009年第3回定例会で日本共産党が提案した意見書(すべて採択)

介護保険制度での新たな要介護認定制度の中止を求める意見書

 4月から、介護保険制度における要介護認定制度が変更された。この新しい認定制度では、コンピューターによる一次判定での調査項目を減らし、「要介護1」と「要支援2」を振り分ける判定をコンピューターに任せ、調査員のテキストも改定した。調査項目からは、「火の不始末」や「暴言・暴行」などが削られ、これらの症状が見られる認知症が正しく判定されない恐れがある。新たな認定制度では、介護認定が低く認定される可能性の大きいことが最大の問題である。実際、7月に厚生労働省が実施した調査では、要介護認定を新たに申請した約6万人のうち、「非該当」(自立)と判定された人が倍増している。
 厚生労働省は「一律に軽度に判定されるものではない」と説明してきたが、介護関係者や利用者を中心とする国民の批判の声をまえに、7月末、新たな認定制度で認定が軽度化する事実を認め、調査項目の見直しを示した。その内容は、利用者からの聞き取り調査を行う際の基準で、実際に行われている介助が不適切な場合は適切な介助を選ぶことにするなど4点にわたり基本的な考え方を変更、また調査項目の17項目の基準を変更している。
 しかし、コンピューターソフトの変更や認定調査項目の削減、二次判定を行う審査会の裁量の縮小については、一切検証されておらず、見直された認定制度で適切な認定が行われる保証はない。
 この間、国会の質疑で明らかにされた厚生労働省の内部文書では、「介護報酬の改定」のためには「さらなる財源確保策が必要」としており、「認定の適正化」を財源確保のための給付費「削減」メニューに並べている。
 介護費用の抑制を目的にした要介護認定制度の変更は、介護保険をますます使いにくい制度にするだけであり、サービスを必要とする人からいっそうサービス利用を遠ざけるものである。
 よって清瀬市議会は、政府に対し、介護保険制度における新たな要介護認定制度の中止を求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2009年10月7日

内閣総理大臣 
厚生労働大臣

                      清瀬市議会

日本農業を破壊する自由貿易協定(FTA)交渉を行わないことを求める意見書

 日本農業は「市場原理」の経済の中で、踏みにじられてきた。日本の食料自給率が先進国最低水準に低下したのは、工業製品の輸出拡大と引き換えに、農産物市場が次々に外国に開放され、輸入農産物が大量に流れ込んだことにある。
 農業者は将来に展望が持てず、高齢化や耕作放棄地の拡大、農村の疲弊が進んでいる。消費者は「食の安全」に懸念を抱き、国産品を食べたいと思っているのに、輸入品に頼らざるをえないのが実情である。
 農業を基幹産業として位置づけ、農産物の輸入を規制し、低迷する食料自給率(2008年 41%)を50%台へと引き上げることが最優先課題となっている。そのために、生産コストをカバーできる価格保障を実施して増産を促すとともに、農業者への所得補償を拡充して環境保全などの努力を支援することが求められる。
 政府は日米FTAを促進するとしながら、自給率向上や農業振興を「損なうことは行わない」と言うが、日米FTAと日本農業の振興は両立しない。日米FTAが日本農業、とりわけコメ生産に破壊的打撃を与えることは、米政府も日本の財界も認めている事実である。
 よって、清瀬市議会は、WTO協定の根本的見直しを行い、日本農業に重大な打撃を与える日米FTAの交渉促進、締結を行わないよう求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2009年10月7日
内閣総理大臣 
農林水産大臣

清瀬市議会

核兵器廃絶へ日本政府が主導的役割を果たすことを求める意見書

 核不拡散条約(NPT)再検討会議の準備委員会は5月6日、来年5月の再検討会議の議題に、「核兵器の全面廃絶に対する核兵器の保有国の明確な約束」をうたった2000年の再検討会議の合意文書を踏まえたNPTの運用見直しを含めることを全会一致で合意した。
 オバマ米大統領は、4月5日にプラハで行った演説で、核兵器廃絶を国家目標とすることを初めて明示するとともに、「核兵器を使用したことのある唯一の核兵器保有国として、米国は行動する道義的責任がある」と述べ、「核兵器のない世界」に向けて「一緒になって平和と進歩の声を高めなければならない」と、世界の諸国民に協力を呼びかけた。5月5日のNPT再検討会議準備委員会で読み上げられたメッセージでオバマ大統領は、「核兵器のない世界の平和と安全保障の追求」を改めて訴え、「米国がNPTの約束を果たす」と表明した。こうした国際的な動きは核兵器廃絶への機運として重要である。
 今こそ、日本政府が、世界でただ一つの被爆体験を持つ国の政府として、来年(2010年)のNPT再検討会議で核兵器廃絶の明確な約束が再確認・履行されるよう主導的役割を果たすべきである。
 清瀬市議会は、非核清瀬市宣言を議決し、核兵器廃絶と恒久平和の実現を求めてきている。いま、北朝鮮の核兵器開発計画など新たな核拡散を許さないためにも、日本政府が核保有国をはじめ国際社会に対して、核兵器廃絶条約の締結を目指す国際交渉を開始するよう具体的な働きかけを行うことを強く求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2009年10月7日
内閣総理大臣 
総務大臣
外務大臣

清瀬市議会

所得税法第56条の廃止を求める意見書

 中小業者は、地域経済の担い手として、日本経済の発展に貢献してきた。その中小業者を支えている家族従業者の「働き分(自家労賃)は、税法上、所得税法第56条では、「配偶者とその家族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」(条文要旨)と定められており、必要経費として認められていない。
 事業主の所得から控除される働き分は、配偶者の場合は年間86万円、家族従業者の場合は年間50万円で、家族従業者はこの控除が所得とみなされるため、独立するための住宅ローンも組めず、社会的にも経済的にも自立しにくい状況となっている。こうした状況は後継者不足にも影響している。
 また、配偶者やその息子・娘などが事業に従事した場合、事業主に家族従業者の働き分を含めて申告するため、重税となっており、家族従業者の働き分が必要経費として算入されないため、下請単価に反映されず、低単価、低工賃の一因ともなっている。
 さらに、この規定は女性の地位を認めない明治時代の名残であり、先進国でも遅れたものとなっている。
 事業所で働く事業主の配偶者である女性からは、「夫のパートナーとして商売に欠かせないのに、妻の働いた対価は給料扱いされない」、「妻を一人前の従業者として認めて、夫の所得からの控除ではなく、給料にしてほしい」との声がある。
 このような所得税法第56条は、個人の尊重(憲法第13条)、法の下の平等(同法第14条)や、両性の平等(同法第24条)、財産権(同法第29条)に反している。
 よって、清瀬市議会は、国会及び政府に対し、所得税法第56条を廃止し、現代社会・経済の実情に合わせ、配偶者や家族従業者の「働き分」を事業者の控除としてではなく、必要経費として算出することを求めるものである。
 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2009年10月7日
衆議院議長  
参議院議長
内閣総理大臣
総務大臣
財務大臣
厚生労働大臣

清瀬市議会

新型インフルエンザ対策に東京都の公衆衛生行政の拡充を求める意見書

 清瀬市では新学期開始に伴い、市内の小学校で新型インフルエンザの感染が広がり、学級閉鎖の対応を取った。国内では、高齢者を中心に新型インフルエンザが原因とされる死亡者も出ており、多くの市民は不安を感じている。
 新型インフルエンザ対応で、日頃の手洗いやうがいの励行などによる感染予防が重要であるとともに、発生時における初期対応が重要である。そのためには日頃の公衆衛生行政の充実が不可欠であり、発生時には冷静で正確な情報提供を絶えず市民に行うことや万全の相談・受診・入院体制が必要である。
 しかしながら公衆衛生行政の最前線の保健所は相次ぐ統廃合で本市は人口約70万人を対象とする多摩小平保健所の担当地域になっている。そのために日頃の情報交換や市民への情報提供が少なくなっており、相談窓口も身近でなくなっている。感染症の危機はなくなるどころか現在は新たな脅威になっており早急な公衆衛生行政の拡充が求められるものである。
 よって、清瀬市議会は、東京都に対し、下記の要望をするものである。

1.新型インフルエンザ対策に対する市町村、医療機関との連携体制を強化すること。
2.市町村・医療機関に対し、正確な情報を迅速に提供すること。保健所だよりなど市民向け情報提供を行うこと。市民からの相談体制を拡充強化すること。
3.民間病院及び区市町村が取り組む新型インフルエンザ対策に、都として財政支援を行うこと。
4.新型インフルエンザワクチンや資材の確保と流通の確保、蔓延期における医療機関への支援を行うこと。
5.保健所設置を増やし、保健所機能を市町村に拡充するとともに「感染症対策」の医師・保健師などの体制を拡充強化すること。

上記、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

2009年10月7日
東京都知事

清瀬市議会

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